美的ハーモニーの定義
- mIf
- 2023年2月6日
- 読了時間: 4分
音楽をきくたのしみは、包まれ、抱擁され、刺されることの純粋なたのしみではなかろうか。
ー三島由紀夫
阿片、モルヒネ、ヘロインなど、
ケシから作られる麻薬は、 感覚が閉じていくような多幸感を人間にもたらすという。
実際に脳の中枢の回路を一部塞いで不安や興奮を感じる物質が通れないようにする、
つまり「閉じる」ことで通常以上の安らぎや幸福感を得るらしい。
依存性が高く耐性がつきやすく、国を滅ぼすほどに危険でもある。
ケシの花は、とても怪しく美しい。
私が美しい音楽に対して感じる幸福感は、これにとても似ている。
美しい響きの中にずっと留まっていたい。
この音の中に溺れて死んでしまいたい。
他には何もいらない。
美に浸り耽る、美の中に「閉じこもっていく」。
耽美的な音楽体験といえる。
さて、前回に引き続き美的ハーモニーについてお話ししましょう。
キーワードは「多幸感」と「陶酔」。
人それぞれ何を美とするかは違うので、現段階でかなり「美的ハーモニー」について齟齬が生まれている可能性があります。
なのでまず定義・・・というか「すり合わせのヒント」になることを述べたいと思います。
(やや理屈っぽいため、人によっては読みづらいかもしれません。
この次の記事から実際の曲をあげつつ美的ハーモニーをゴリ推ししていきますので、そちらを先にご覧いただくといいと思います。)
美的ハーモニーの定義①
クラシックでは後期ロマン派、フランス近代に多い
聴覚的自然の範囲内での複雑性を有する
ジャンルは問わない
定番曲や、よくあるコード進行は除外
(曖昧!なぞなぞみたいですね〜)
1について
具体的にはドビュッシーやラヴェル、スクリャービンを指します。
でもショパンやブラームス、ラフマニノフの作品にも見られます。
2について
理論やコンセプト優位の前衛音楽よりも、よく耳を澄まして書かれたような感覚的な自然を大切にした音楽ということ。その上で「いろんな音が混ざってるな」という複雑さがポイントです。
3について
ジャズやエレクトロニカ、ポップスについてもジャンル横断的に発掘していきます。
美的ハーモニー目撃情報があればどんどんお寄せ下さい。 (ただし審査は厳しいです。偏屈なので悪しからず)
4について
飽きるほど聴いている「定番曲」や「定番のコード進行」は含めません。
たとえばショパンの「ノクターン」やリストの「愛の夢」などは含まれない。
大衆的すぎて何も感じられません。
(これらはサロン音楽として「わかりやすさ」と「一般受け」を狙って書かれたものです。 ショパンもリストも好きだけど、この2曲は「私のための音楽ではない」という確信が昔からありました。知らんけど。「乙女の祈り」などもこのグループに属します。)
美的ハーモニーの定義②
・必ずしも単体で複雑な和音(コード)である必要はない。
・前後のコード進行(つながり方、文脈)がありきたりでないもの
・作品そのものが耽美主義(美を思想やメッセージに勝る最上の価値とする作品や人)というわけではない
例外
・シンプルな3和音でも、和音の交代点が頻繁だったり、不規則に意表をついてきたり、
接続が個性的なもの
・「よくあるコード進行」でも、メロディーやベースに非和声音や付加音を含むもの
こんな感じですかね。
誰に必要なの?って感じの曖昧な定義ですが、これから収集する上でポイントになるかと思いまとめてみました。
あと本当は「耽美ハーモニー」という言葉を使いたいのだけど、「耽美」にはエログロやSMのイメージがあるらしく、混同されやすいかなと思ってやめました。
もっとふわふわ軽くて、サラサラしてて無責任で、それでいてほとばしるような瑞々しさと香気があるものが私にとっての「美的ハーモニー」なので。
仲間が集まってきたら、耽美的ハーモニーについて語り合うイベントなんかもできたらいいですな・・・酒とCDと楽譜など持ち寄って。楽しそっっw
そんな世界線ありえるのかな。
現実に立ち上がったらおもろいと思うので、ちょっとふざけつつチャレンジしてみます。
よければ一緒に楽しみましょう。
せば!
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